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女子生徒を抱きしめたり、LINEで不適切なメッセージを約1600回送ったなどとして、東京都教育委員会は、23区内の区立中学校に勤務する28歳の男性教諭を4月25日付で懲戒免職処分にした。

報道によると、男性教諭は2015年8月から11月にかけて、顧問をつとめる部活の女子生徒1人に対して、抱きしめたり、マッサージをしたりしたほか、LINEで「あしたはきみのことだけを考えるね」などのメッセージを1600回ほど送ったという。教諭は、「女子生徒に対する感情を抑えきれなかった」と話しているという。

ネット上では男性教諭の行為に対して、「1600回とか完全に頭おかしい」「こういうのはストーカー規制法違反で逮捕しろ」といったコメントがあった。この男性教諭の行為が犯罪にあたる可能性はあるのだろうか。浅野英之弁護士に聞いた。

●LINE、抱きしめ、マッサージ…その違法性は?
「ストーカー規制法では、『つきまとい等』『ストーカー行為』の2種類の行為について定義をして規制をしています。『つきまとい等」(同法2条1項)とは、主に恋愛感情その他の好意を原因として行われる一定の問題行動を、8類型に分類して定義したものです。『ストーカー行為』(同法2条2項)とは、同一の者に対してこの『つきまとい等』を反復することをいいます。

したがって、『つきまとい等』に列挙される8類型の分類に該当する場合には、ストーカー規制法による規制の対象となります」

浅野弁護士はこのように述べる。LINEを1600回送ったという教師の行為は、規制の対象になるのか。

「まず、LINEのメッセージを非常識なほど執拗に送ることは、『つきまとい等』の8類型のうち、『電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールを送信すること』(同法2条1項5号)に該当するかを検討するべきでしょう。

この条文では文言上、『電子メール』のみが禁止の対象となっており、『電子メール』の定義がないことから、文言に忠実に考えるとLINEメッセージなどのSNSによる連絡は対象外となるとも考えられます。しかしながら、メッセージの内容によっては、『その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと』(同法2条1項2号)、『面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること』(同法2条1項3号)に該当する可能性もあります。

ただし、『つきまとい等』に該当するためには、『恋愛感情その他の行為の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的』が必要です。したがって、恋愛感情ではなく、単なる嫌がらせ目的でLINEのメッセージを送り続けた場合には、ストーカー規制法の規制対象とはなりません」

女子生徒を抱きしめたり、マッサージをしたことについてはどうだろう。

「『抱きしめる』、『マッサージをする』という行為は、ストーカー規制法上は、明示的に規制対象とはされておりません。しかしながら、嫌がるのに無理やり力づくで抱きしめたり、マッサージをしたりすることは、その態様によっては、8類型のうちの『著しく粗野又は乱暴な言動をすること』(同法2条1項4号)に該当する可能性があります。

なお、ストーカー規制法が適用されない場合、たとえば、恋愛感情がなく、単に嫌がらせ目的でLINEのメッセージを執拗に送り続けた場合であっても、迷惑なメッセージを執拗に送り続けることで受信者をノイローゼにさせてしまうなど、生理的機能に障害を生じさせた場合には、傷害罪(刑法204条)が成立する可能性があります。

また、相手の意思に反して抱きしめる行為は、無理やり行うなど、その程度によっては、強制わいせつ罪(176条)に該当する可能性があります」

弁護士ドットコム